(ニュースから)渋谷区「同性パートナー条例」に「国が分裂する」 自民政務官が鳴らした警鐘は波紋を広げるか
【安倍政権考】渋谷区「同性パートナー条例」に「国が分裂する」 自民政務官が鳴らした警鐘は波紋を広げるか(1/4ページ) – 産経ニュース
http://www.sankei.com/premium/news/150306/prm1503060007-n1.html
東京都渋谷区が区内に住む20歳以上の同性カップルを「結婚に相当する関係」と認め、証明書を発行する条例案を提出することを決めた。他の自治体からも同様の動きが出ている。これに対し、政府・自民党から異議が出ている。「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し…」としている憲法24条に反しかねないのが理由だ。地方分権のあり方も問われそうだ。
世界に“追随”
渋谷区の桑原敏武区長がこの条例案を発表したのは2月12日。「多様性のある社会をつくることが活力を生む。渋谷区からの発信が国を変えていくかもしれない」と語った。同性同士をパートナーとして証明する条例案は3月区議会に提出する予定で、全国初の試みとなる。
同性カップルがアパートの入居や病院での面会を、家族ではないことを理由に断られるケースがあるのを踏まえたという。条例は法的拘束力を持たないが、区は不動産業者や病院などに、証明書をもつ同性カップルを夫婦と同等に扱うよう求める方針だ。
区がホームページで公表している条例案の概要には参考資料もついており、世界各国の状況を明らかにしている。それによると、パートナーシップ(何らかの夫婦に準じる権利)を認めているのはドイツ、イタリアなど25カ国、同性婚(同性同士の婚姻を認めること)はオランダ、スペインなど19カ国が認めている。世界に“追随”することで条例案の正当性を訴えようとしているのは間違いない。
「憲法違反の自覚は?」
この条例案に異議を唱えたのが、赤池誠章文部科学政務官(自民)だ。
赤池氏は自らのブログで「法や条例は憲法に違反することはできません。その自覚がおありになるのでしょうか。私は地方分権が進みすぎてしまい、国が分裂混乱してしまうことを懸念しております」と問題点を提起した。
国の制度を無視した地方分権は、ことの次第では「国家分裂」に陥りかねないというわけだ。
外国人への地方参政権付与をめぐる問題でも、憲法15条は参政権を「国民固有の権利」としている。そんな中、一部自治体は外国人の住民投票を認めている。政策判断に日本国籍を持たない外国人の関与が強くなれば「国家分裂」になりかねない。
「同性婚」は今国会でも話題になっている。
日本を元気にする会の松田公太代表が2月18日の参院本会議で「憲法24条は同性婚を認める上で問題となると考えるか。なると考える場合は、憲法改正の候補として検討してはいかがか」と質問した。安倍晋三首相は「現行憲法の下では同性カップルに婚姻の成立を認めることは想定されていない。同性婚を認めるために憲法改正を検討すべきか否かは、わが国の家庭のあり方の根幹に関わる問題であり、極めて慎重な検討を要する」と答弁し、同性婚を認めるための憲法改正について慎重姿勢を示した。自民党も、一部を除いて、日本の家族制度にかかわる問題だとして首相に賛同する意見が多い。
ところで、桑原氏とはどんな人物なのか。
平成15年に区助役から初当選し、現在3期目。今期限りの引退を決めている。自民、公明両党推薦候補として区長選を戦ってきたが、自民党からは「聞く耳をもたず独裁だ」(都連幹部)との批判が漏れる。自民党との距離は広がるばかりで、別の都連幹部は条例案について「成立はあり得ない。成立したら、次期区長が条例を廃止にする」と突き放す。
他の自治体に波及
もっとも条例案が否決されても、渋谷区に追随しそうな動きはすでに出ており、横浜市の林文子市長は2月18日の記者会見で「強い結び付きをもっている同性カップルは少なくない。社会の一員として受け入れていくのは大事だ」と述べ、支援の形を検討する考えを表明した。世田谷区の保坂展人区長もすでに独自の支援策の検討を進めている。
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