(ニュースから)11月21日に衆議院解散! 増税推進派自民議員と財務省と戦う安倍首相

 本日(11月18日)午後7時すぎに安倍首相が記者会見し、11月21日(金曜日)に衆議院を解散すると発表しました。

 その理由は「消費税の10%への引き上げ実施を2017年4月に延期する」「2017年4月には景気条項なしに必ず10%に引き上げる」「経済政策(三本の矢)を引き続き推進する」「2020年度の財政健全化目標(注)は堅持する」などに対して国民の信を問うためで、総選挙で公明党とあわせて過半数を下回れば退陣するともつけ加えました。

(注)2020年度に国債費(国債の利払い金と償還金の合計)を除く基礎的財政収支を黒字化する目標

 要するに10%への消費増税実施を1年半延期して景気の落ち込みを防ぎ、その間に現在の経済政策(三本の矢)を推進してデフレを克服し、2017年4月には必ず消費税を10%にして財政再建も行うということです。また11月21日の解散としたのは、来年度予算編成を遅滞させないためだそうです。

 一連の説明としては違和感が少なく、内外の投資家の失望感を呼ぶこともなさそうで、金融市場(特に株式市場)の混乱も回避できそうです。

 今後の注目点は、消費増税推進派(隠れ推進派も含む)の反撃です。

 単に消費増税の延期だけなら「景気条項」を発動すればよく、法律改正を行うなら消費増税の延期だけではなく白紙撤回でも可能のはずで、何でわざわざ衆議院を解散する必要があるのか?との違和感が残ります。

 「大義名分のない選挙」との声もあります。

 その答えは簡単で、自民党議員(に限らず公明党も、野党の民主・みんな・維新などの議員も同じですが)の大半が隠れ消費増税推進派なので、消費増税延期のための法律改正など「絶対に」できないからです。

 消費増税による景気落ち込みを回避するとの大義名分で補正予算を組み数兆円規模の公共事業を発注することになっており、その利権に最も近そうな二階俊博氏が自民党総務会長です。

 法律の制定や改正には自民党(他の党も同じだと思いますが)は党議拘束をかけ、国会での造反を許しません。それを仕切る総務会長が二階俊博氏なので、補正予算と公共事業の大義名分となる消費増税延期など(ましてや白紙撤回など)国会に上程できるはずがありません。

 また同じ大義名分で法人減税も行われることになっていますが、これも大企業だけが恩恵を受け、中小企業や赤字企業には実質増税となります。それでも大企業が恩恵を受ければ、やはり自民党(に限らず)議員の大半も恩恵を受けることになります。

 安倍首相にしても、何よりもこのまま消費増税を強行すれば日本経済は「大不況」となり自分だけが消費増税の決定者となり人気が急落し、その隙を麻生財務大臣や石破国家戦略区担当大臣などに突かれる事態も回避したいはずです。

 したがって自民党内で明らかに少数意見である(というよりもほとんど賛同者がいない)消費増税延期のためには、首相の専権事項である衆議院解散カードを切るしかなかったことになります。

 今回の総選挙では自民党が議席を減らし、民主党などの野党が議席を増やすことになりそうです。もっと正確にいえば、自民党各議員にとって消費増税延期を巡り国民の信を問わざるを得ない「大変に困った選挙」となるはずです。

 つまり今回の総選挙は与党と野党の対決ではなく、自民党内の対決で、しかも安倍首相サイドが圧倒的に少数派という「大変に珍しい選挙」でもあります。

 安倍首相は野党と戦うのではなく、自民党内の反対勢力(というよりも消費増税に賛成する本流の多数派)と戦うことになります。

 もちろん安倍首相には「もっと強大な敵」がいます。

 そう、梯子(はしご)を外された旧大蔵省(日銀を含む)です。こちらは様々な「報復」あるいは「妨害工作」を繰り出してくるはずです。

11月21日に衆議院解散! | 闇株新聞
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