(ニュースから)【国防最前線】御嶽山で命懸け救助 自衛隊ヘリの威力は「当たり前」なのか
警察・消防などとともに行っている御嶽山噴火の災害派遣では、まさに身をていして捜索活動にあたっている自衛官の姿が映し出されている。
初めに印象深く目に焼き付いたのは、救難ヘリUH60JAによる人命救助であった。
気圧も気候も不安定な標高3000メートルの山頂すれすれの低空を、ホバリングしながらの救助活動、しかも火山灰が舞い上る中である。まさに、「命懸け」以外の何物でもない。
しかし、その後、複数の人に「自衛隊はなぜ、早く残された人たちをもっと助けないのか」と問われ、初めてこれが決死の救助であることがあまり知られていないと分かった。「自衛隊の人は淡々と説明するので大変なことだと思わなかった」と多くの人はいう。
状況を知っていれば身震いしてしまうような救出劇を、大したことはしていないように見せたのは自衛隊らしいといえそうだが、それは冷静な口調だけではない。救助活動にあたったヘリUH60JA・ブラックホークの活躍もあった。
同機は、米シコルスキー社が開発し、三菱重工業でライセンス国産している。米軍のブラックホークといえば、ソマリア民兵との戦闘を描いた米映画『ブラックホークダウン』を思い出す方も多いだろう。
UH60は世界の多くの国で採用されているヘリで、わが国でも陸海空自衛隊に導入されている。米軍では特殊作戦などに用いられるイメージが強いが、自衛隊では救難などが主だ。これまでに救った命は数知れない。
陸自のUH60JAは赤外線暗視装置やワイヤーカッターなども備えていることからも、悪条件下での任務も想定していることがうかがい知れる。
そもそも、陸海空自衛隊は、警察・消防が悪天候などで出動を断念せざるを得ない時の切り札として、山岳地帯であるいは海で、高度な技術を駆使し人命救助を行ってきている。
今回のような高リスクな任務を行えるのは、日ごろからもっと厳しい訓練を行っているということにほかならないのだ。
こうした極限場面を目の当たりにしても、「当たり前」だと思われてしまうのは非常に残念だ。だが、訓練を積み重ねることの尊さ、さまざまな想定を配慮した装備、これらの裏付けに確信を持てるからこそ、指揮官も現場も状況判断ができるのではないだろうか。
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