(ニュースから)「特攻と虐殺は違う」アウシュビッツとの友好協定中止を決定 知覧・南九州市 反対論が続出
「特攻と虐殺は違う」アウシュビッツとの友好協定中止を決定 知覧・南九州市 反対論が続出(1/3ページ) – 産経WEST
http://www.sankei.com/west/news/150728/wst1507280022-n1.html
さきの大戦末期、旧日本陸軍の特攻基地「知覧飛行場」があった鹿児島県南九州市が、アウシュビッツ強制収容所跡地のあるポーランドの都市と進めていた友好交流協定の問題で、南九州市は27日、協定締結を中止することを明らかにした。「特攻とユダヤ人虐殺が同一視されかねない」という市内外からの反発によって、見直しを決めた。(南九州支局 谷田智恒)
同日開かれた市議会全員協議会で説明した。
市総務課によると、友好協定の話は今年1月、世界各国を歩いて平和や環境保護などを訴えているという横浜市の男性(32)が、持ち込んできたのがきっかけ。男性は昨年12月、同市の知覧特攻平和会館を訪れ「特攻隊員の遺書を読んで感動した。世界に平和を発信しているアウシュビッツと結びつけたいと思った」と担当者に語った。
男性は今年2月頃、アウシュビッツ強制収容所跡地のあるポーランドのオシフィエンチム市のアルベルト・バルトッシュ市長と面談し、南九州市との提携話を持ちかけたという。市長から「世界平和の発信に向けたパートナーシップを前向きに考えたい」とする親書を受け取り、5月末に南九州市役所へ持ち込んだ。
南九州市役所内部では「ユダヤ人をはじめ多くの人命が奪われたオシフィエンチム市と同様に、知覧では夢と希望のある多くの若者が特攻隊として飛び立った。戦争で多くの尊い命が失われた事実を認識し、その記録・記憶を後世に伝えねばならない使命があり、両市で手を携えて平和の道を歩もう」という理由で、友好交流協定の締結を決定した。
今月8~12日に霜出(しもいで)勘平市長や男性ら4人がオシフィエンチム市を訪問し、協定締結を話し合った。旅費(1人あたり約37万円)は、市議会の可決を経て、市から出ていた。
ところが、両市の協定に「祖国や家族を守ろうとした特攻隊員と、ナチスによるユダヤ人虐殺が、同質のものとして受け止められかねない」などと反対意見が続出した。特攻隊員の遺族や縁の人々も、多くが反発した。電話やメール、ファクスによる市への抗議は100件以上に達した。
市総務課長の金田憲明氏は「(抗議の電話をしてきた人々に)市の立場を説明したが、理解してくれる人は皆無だった。これほどの拒否反応が出たことは正直驚きであり、われわれの勉強不足だった」と語った。
南九州市は今後、友好交流協定を中止することについて、おわびとお断りの文書をオシフィエンチム市に送る。文書では「(日本)国内では、さまざまな意見が寄せられ、混乱が生じている。オシフィエンチム市にも迷惑をかけるかもしれない」などと説明するという。
霜出勘平・南九州市長の話「市としては、平和な世界の構築に向けてメッセージを送り続けねばならないとの思いから、オシフィエンチム市との連携を試みたが、残念な結果となった。戦後70年事業として米ハワイ州のミズーリ記念館で特攻資料を展示している。外国の方々の特攻隊員に対する理解も進んでおり、今後も特攻の真実を伝える努力を続けていく」
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