(ニュースから)【大前研一】】「立ち位置」見失った韓国外交 日本は放っておけばよい

【大前研一のニュース時評】「立ち位置」見失った韓国外交 日本は放っておけばよい (1/2ページ) – 政治・社会 – ZAKZAK
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20150517/frn1505170830001-n1.htm

 韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は4日、韓国の外交について、「歴史問題に埋没することなく、別の観点に基づく明確な目標と方向を持って進めている」と述べた。対日政策では、歴史・領土問題と安全保障・経済問題を切り離して対応するという考えを示したといえる。

 韓国では最近、日本との関係強化を求める声が高まっている。外交当局も、歴史と他の問題を分ける「2トラック政策」で対応していると主張してきた。この件について朴大統領が正式に言及するのは初めてのことだ。

 これは朴大統領の敗北宣言といっていい。大統領自身がこういう発言をしたのは、自分たちの立ち位置がわからなくなってしまったからだろう。

 中国にすり寄ってはみたものの、隷属するのは屈辱だ。かといって、日本とは仲良くしたくない。さらに、自分たちが取り込んでいると思っていた米国が、先日訪米した安倍晋三首相を予想以上に厚遇したことも衝撃だった。もちろんロシアにすり寄るのも、今の北朝鮮と仲良くするのもメリットがない。かといって韓国は韓国だ、と言ってみても国民は納得しない。韓国は自分たちのポジションを再び探らなければいけなくなったのだ。

 長い歴史の中、日韓の間にはいろいろなことがあったが、1965年、朴大統領の父親である朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領は、「日本統治時代の問題はすべて清算しよう」と日韓基本条約を結んだ。そして、日本からの援助金や技術で「漢江の奇跡」といわれる経済成長を達成した。

 戦後の日韓関係はそこからスタートしている。日本は償いもしているし、韓国経済発展のために技術や資本も提供している。そういう歴史の事実を、金大中(キム・デジュン)以降の韓国は認識していない。

 特に現大統領は当事者の娘なのに、こういうことを無視して、意固地な態度を続けた。このお嬢様大統領につけるクスリはない。今回のように少し態度が変わっても、反日姿勢は変わらないだろう。

 私は日韓関係については、しばらくほっといたらいいと思っている。ビジネス面では、日本の部品や機械を依然として買ってくれているから、あまり実害はない。

 韓国の若者たちの日本離れは、98年に就任した金大中元大統領のころから始まった。経済の建て直しを図るため、米国に範を求めて、英語やIT産業を奨励し、その結果、韓国はIT先進国と呼ばれるようになり、日本への留学生は激減した。

 さらに、日韓関係をここまで悪化させたのは、2012年8月の李明博(イ・ミョンバク)前大統領の竹島上陸だ。当時、現役の大統領だったにもかかわらず、歴史を深く理解せず、天皇陛下に謝罪を要求するようなことを口走って反日政策を前面に押し出し、韓国の国民やマスコミを「嫌日」に追い込んでいった。行き過ぎだったと思う。

 だいたい、「日本は歴史認識ができていない」と中国も韓国も言ってくるが、歴史を正しく認識している国なんて世界に1つもない。いつの間にか民主主義のチャンピオンということになっている米国だって、歴史を忘れている。メキシコから奪った州はいくつあるのかと言いたい。

 韓国も中国も歴史問題については、おかしなことだらけ。すべての国が歴史問題を正しく国民に伝えていない。為政者に都合のいい歴史を語っているだけだ。日本だけが諸外国から「歴史認識」を責め立てられるのは外交技術が弱すぎるからだ。

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