少子化に拍車

移民政策の推進によって日本人全体の所得が減少してしまった場合、少子化問題に更に拍車が掛かることになります。
現在の日本でも経済的な理由で第2子・第3子の出産を諦めている家庭が多く存在しています。
ただでさえそのような状況なのに、移民の増加によって日本人家庭の所得が減少したら、ますます出産を諦めざるを得なくなる若い人たちが増えてしまいます。
それだけではなく結婚自体を諦めてしまう人も増えるでしょう。
日本の未来は暗澹たるものになって行きます。

移民がもたらす日本人の所得減少

移民による経済効果は一般国民の利益に繫がらないと述べましたが、利益にならないどころか重大な損失に繫がるのです。
現在、技能実習生という在留資格で日本に入国している外国人は相当数に上っていますが、技能実習制度のそもそもの目的は発展途上国から実習生を受け入れて育て、将来母国で活躍できるよう支援する制度です。
従って技能実習生には単純労働は認められず、それは受け入れる企業側が守るべきルールなのです。
しかしながら実態は、安価な臨時雇い労働者の扱いになってしまっています。
在留期限が3年と定められているので、技能実習生を受け入れる企業側にとっては低賃金労働者の使い捨てという状態であり、違法な最低賃金・違法な時間外労働・残業代の未払い等、問題はかなり発生しています。
この日本企業側の態度は同じ日本人として恥ずかしい限りです。

現在でもこのような問題を抱えているのに、更に移民を増やした場合にどうなると思いますか?
企業にとっては低賃金の労働力が容易に確保できることになり、また企業の都合でいつでも辞めてもらうことが出来るのです。
一方で日本人を正社員として雇った場合、労働基準法の遵守・社会保険への加入・残業代の適正な支払い・有給休暇の付与等の負担が会社に掛かってきます。
利益を優先したい企業は日本人を雇わずに、移民を多く雇うようになって行きます。
そのような状況で日本の若者が職を得ようとすれば、低賃金の移民労働者と同レベルの賃金体系に甘んじなければならない事態が発生してしまうのです。
そして低レベルの賃金体系が特別なものではなく、いつしか普通になってしまうことが予想されます。
これが日本人全体の所得減少に繫がって行くのです。

移民政策を推奨する経済界のエゴ

日本経団連はかなり前から移民政策推奨の立場を表明しています。
経団連は2008年10月に「人口減少に対応した経済社会のあり方」と題した報告書を発表しましたが、この報告書では『日本型移民政策』という言葉で移民受け入れをはっきりと提言しています。
それまでも外国人労働者の受け入れについて積極的な姿勢を示していましたが、帰国を前提としない移民の受け入れを明確に提言したのです。

また2010年11月、当時の経団連会長・米倉弘昌氏は「経済補強の為には移民しかない。移民法がないのは先進国の中で日本だけだ」との持論を披露しました。
米倉氏は日本に先駆けて実施されたヨーロッパの国々の移民政策が、悉く失敗に終わっていることをご存知なかったのでしょうか?
そうだとしたら経済界のリーダーとしてあまりにも資質を欠くと言わざるを得ません。
しかし、もしご存知だったとしたらかなり悪質です。
経済界の繁栄の為に日本の国体を脅かすような発言をすることは、金を拝んで魂を売ったに等しい行為であると言わざるを得ません。
しかも移民による経済効果は、一般国民の利益には繫がらないのです。
一部の大企業が利益を独占する超格差社会を生み出すだけです。