(ニュースから)“爆買いゴミ”あふれ関空が悲鳴…外箱捨てて搭乗が中国流 「荷物のかさ減った」と涼しい顔!?

【関西の議論】“爆買いゴミ”あふれ関空が悲鳴…外箱捨てて搭乗が中国流 「荷物のかさ減った」と涼しい顔!?(1/3ページ) – 産経WEST
http://www.sankei.com/west/news/150812/wst1508120010-n1.html

 “爆買い”目的の訪日外国人客の残したゴミが関西国際空港にあふれている。搭乗の際、チェックインカウンターで荷物のかさを減らすため商品の外箱などを大量に破棄しているのが原因。ゴミ箱に入らず通路に大量放置されるケースも多く、新関空会社は4月下旬以降国際線出発ロビーの清掃員を3倍に増員するなど対応しているが、「マナーを守ってほしい」と頭を抱えている。(吉村剛史)

ゴミの正体は家電や貴金属の空箱

 「朝夕の、中国便の出発ラッシュ前が特にひどい。所かまわず段ボールなど空き箱の山です」

 関西国際空港でターミナルビルの清掃などを請け負っている会社の幹部(55)はため息をついた。

 ゴミの“正体”は、ほとんどが家電製品や衣類・靴、貴金属、雑貨、医薬品、菓子などの空箱。訪日外国人は滞在中に購入した商品を出国に使う空港まで届けてもらうサービスを利用、搭乗の際に荷物のかさを減らすために段ボールなど梱包(こんぽう)材や商品の外箱を捨てている。

 ゴミ箱に捨てるには段ボール箱は折ったり潰す必要があるが、そのままコンコースの通路隅など放置されている。

 箱には関空までの送り状が添付されており、発送元は“爆買い”客の観光バスが乗り付ける市内の有名家電量販店などが多い。受取人名は「LIU」(劉)や「WU」(呉)、「LAI」(頼)といった中国系姓がほとんどだ。

「ゴミじゃない」とクレームも

 放置の背景には、2001年の9・11米同時多発テロ以降、関空内でも人目につかない場所のゴミ箱が撤去され、設置場所が約3分の2に減ったことなどもあげられる。

 「誰か一人が通路などに捨て始めると、すぐにその場所に山積になります。ゴミ箱に捨てられていれば即座に回収できますが、通路上などだと旅客が一時的に置いた荷物と区別できず、すぐには回収できないのです」と頭を抱える。

 同社によると実際、放置ゴミと思われた通路上の段ボールを回収したところ、旅行者から「一時的に通路に置いていた段ボールがなくなった。中には日本円70万円入りの封筒が入っていた」とクレームが寄せられたことも。

 結局、その旅客を地下のゴミ集積場に案内し、清掃員総出で搬出前のゴミの山から該当する段ボール箱を捜索、発見したところ内部に封筒はなく、後に旅客から「別のカバンから見つかった」といわれて事なきを得たこともあったという。

 「このためエアラインなど、現場から放置ゴミの回収要請があった場合は、新関西国際空港会社にゴミかどうかの判断を下してもらえるよう要請していますが、実現していません」

 結局、清掃員が発見した場合はすぐには回収せず、約1時間かかるロビー巡回を1回行い、その後も同じ場所に残っている場合は内容物に貴重品がないかどうかを慎重に確認してから回収している。

 「しかしキャリーバッグを空港内のカートに乗せたまま、紙ゴミなどと一緒に放置していたケースなども実際にあり、一時的に遺失物として扱うなど苦労しています」と困惑している。

清掃員を3倍に増員

 こうした“爆買い”関連の放置ゴミが関空で目立ち始めたのは、今年2月の中華圏の旧正月「春節」以降。2月~6月の各月のゴミの量はいずれも対前年同期比150%~170%にのぼっており、清掃会社7社と契約している新関空会社では、ゴールデンウイーク前から人件費を新たに支出して、清掃会社に必要な増員を要請。

 このうち第1ターミナルビル国際線出発ロビー(4階)では3月まで、清掃員は2人態勢だったが、4月下旬以降は3倍の6人に増員し、清掃時間も従来より1時間増やした。

 清掃会社では引き続き、新関空会社に「放置ゴミと遺失物の線引き判断」を求めてゆくと同時に、「“爆買い”客に向けたゴミ捨てマナー向上を呼びかけるポスター掲示や、随時のアナウンスなどお願いしたい」などと話している。

五輪特需で“爆買い”今後も増加

 円安をはじめビザ発給要件の緩和、そして相次ぐ格安航空会社(LCC)の就航などが原因で、中国、台湾、韓国や東南アジアなどの訪日外国人客が急増。昨年度の関空国際線の旅客数は、前年度比12%増の約1352万人で過去最高を記録。うち外国人旅客数は同41%増の699万人で、開港以来、年度で初めて日本人(630万人)を上回った。

 今年上半期(1~6月)の運営概況(速報値)でも、国際線は前年同期比21%増の756万人で、外国人が58%増の458万人を占め、いずれも過去最高記録を更新しており、2020年の東京五輪に向け、記録の更新は今後も続くとみられている。

 関空でも搭乗直前に免税店で大量の土産物を購入して機内持ち込みの制限を超え、預け入れ荷物に変更するのに手間取って航空機の出発に遅れが生じるなど、ゴミだけでなく空港運営全体にも影響がでかねない状態になっている。

 新関空会社では「状況をみて清掃員のさらなる増員や公共マナー紹介グッズ配布などを考えていきたい」と話している。

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