(ニュースから)「教育の中立性」を嫌う民主党の本音は「日教組の手足を縛るな」

【阿比留瑠比の極言御免】「教育の中立性」を嫌う民主党の本音は「日教組の手足を縛るな」 (1/3ページ) – 産経ニュース
http://www.sankei.com/premium/news/150625/prm1506250008-n1.html

 民主党の体質は、いつまでたっても変わらない-。選挙権年齢が18歳以上に引き下げられたのを受けて、同党の「主権者教育のあり方検討ワーキングチーム」がまとめた中間報告を読んでの感想である。そこにはこう書かれていた。

 「『政治的中立性』という言葉に縛られ、現実にある課題や争点を避け、学生の思考力、判断力の涵養(かんよう)を怠るような教育のあり方は『主権者教育』とは言えず、再構築されるべきだ」

 「教職員に対して、既存の法令以上の制限を課す必要はない」

 一見もっともらしいが、民主党の幹事長を務めた日教組のドン、輿石東参院副議長がかつて、こう述べていたことを連想させる。

 「(日教組は)政権交代にも手を貸す。教育の政治的中立などといわれても、そんなものはありえない」(平成21年の日教組「新春の集い」あいさつ)

 つまり、中間報告の真意は「わが党の有力支持団体である日教組の手足を縛るな」ということだろう。枝野幸男幹事長は先日、党の労組依存体質を批判した長島昭久元防衛副大臣を注意したとのことだが、労組、特に日教組や自治労など官公労の支持・支援がなかったら民主党はどうなるか。

 興味深いのが、今年4月の大阪での統一地方選の結果である。民主党は大阪府議選(改選前8議席)に9人が立候補してわずか1人しか当選せず、大阪市議選(同6議席)では出馬した11人が全滅した。

 大阪が維新の党の本拠地であることを差し引いても極端な結果だ。これについて閣僚の1人は、「大阪市と大阪府がそれぞれ24年と25年に、橋下徹市長の主導で『職員の政治的行為の制限に関する条例』を作ったのが大きい」と指摘する。

 もともと政治的に中立であるべき地方公務員や教職員は、地方公務員法や教育公務員特例法などで政治活動に一定の制限を受けている。ところがこれらは「ザル法」で、刑事罰の適用もある国家公務員と異なり、地方公務員や教職員は事実上、野放し状態だった。

 これに対し、大阪府・市は懲戒処分として「免職」も可能とする条例を制定したことが、統一地方選の結果に表れたのだ。民主党の前大阪市議はこう話す。

 「影響は大きかった。条例が、もともと本心では選挙運動に積極的ではなかった職員や教師らに、『もう活動しなくていい』というお墨付きを与えた」

 つまり、自治労や日教組などの動きが鈍れば、民主党はたちまちじり貧になるということである。

 地方公務員や教職員の政治活動に国家公務員並の罰則規定を設ける法改正については10年前、自民、公明両党が幹事長会談でいったん合意したが、地方自治体の現業職に支持者の多い公明党が党利党略でひっくり返した経緯もある。だが、公明党は大阪府・市の条例には賛成している。

 「統一地方選の大阪での選挙結果は、公明党説得の材料となる」

 ある閣僚はこうも語っている。法改正の意味はもちろん、それだけではない。本来の職務に専念したい地方公務員や教職員にとっても、選挙のたびに政治活動に費やす時間や労力を省ける。ひいては地域住民や子供たちのためにもなる。

 「この法改正はやらないとダメだ」

 安倍晋三首相も周囲にこう話すなど、首相官邸は法改正に前向きだとされる。教育正常化を進める上で、避けては通れない問題である。

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